「ギザ十」とはまわりがギザギザした十円硬貨の事。
財布の中に10円硬貨があっても、それがギザ十だとつい使わずに他の硬貨を使ってしまう。
「ギザ十」自体にそこまでの価値があるわけではないのに。
では人はなぜ「ギザ十」を使いづらいと感じてしまうのか。
今回はその理由を心理学的に解説してみた。
そもそもギザ十とは
そもそもギザ十とは、ギザギザ付きの10円玉の事を指す。通称「ギザ十(じゅう)」。
そもそもどうしてギザ十が作られたのか。
よくよく調べてみると、ギザ十が誕生したのは単にデザインではなく、きちんとした意味合いがあった。
表面には「日本国」「十円」「平等院鳳凰堂」、裏面には「10」「製造年」「常盤木」が刻まれた10円硬貨。
2019年には消費税が10%に引き上げられたこともあり、1円硬貨や5円硬貨よりも再び出番が増えて、注目の集まる硬貨となった。
ギザ十はなぜ作られたのか
その中でも、価値があるとされるギザギザ付きの10円硬貨「ギザ十」はなぜ作られたのか。
理由その1 当時の硬貨の最高額の象徴として
ギザ十は、現在のデザインに近い10円硬貨が発行され始めた「1951から1958年までの約7年間」のみ発行されていた10円硬貨。
当時は10円硬貨が当時の最高額だった。
そのため当時の最高額であるということの象徴として、また偽造防止策として、縁にギザギザの装飾を施したといわれている。
理由その2 10円硬貨の転用防止として
当時は10円の原材料の銅の価値が上がってきており、10円硬貨から銅を取り出して転用する人もいた。
周りにギザギザにする事でそうした転用をしにくくなる効果があったともいわれている。
ちなみに、10円より価値がある硬貨が作られるようになったことや、周りがギザギザしていると視覚障害者が他の硬貨と区別が付きにくくなる、といった理由でギザ十の製造は中止された。
なぜギザ十は使いづらいのか
では、どうして財布に「ギザ十」が入っていると使いにくくなってしまうのか。
それは「人は手に入れにくい物は価値がある物だと錯覚するから」である。
つまりギザ十を勝手に価値があるものだと誤解しているからだ。
これは数々の心理学の実験で明らかになっている。中々手に入れれない物を「価値がある!」と誤解してしまう。
数量限定の商品を欲しくなったり、期間限定セールだとつい、いらない商品を買ってしまったりする。
同様に、ギザ十も「中々手に入らない」と思うと逆に欲しくなってしまう。
その結果、財布の中にギザ十が入っていても使いづらくなってしまう。
珍しいモノはすごいモノ!
なぜ人は手に入りにくいものを欲しがるのか。
それは手に入れにくい物は価値がある事が多いからだ。
例えば
- 東京大学は受験生の一部しか受からないからズゴイ。
- 年収1億円は誰でもなれるわけじゃないからズゴイ。
なので中々手に入りにくいものをズゴイ事が多い。
その結果「手に入りにくい=価値がある」と人は思いやすくなる。
ギザ十みたいに「別に珍しいけど価値があるわけじゃないよね」って物まで人は価値があると誤解してしまう。
禁止されるとしたくなる!
人は制限された事ほどしたくなる。正確には「人は禁止されたことほどしたくなる」。
これは反抗期の2歳児や10代を思い出せばわかりやすい。彼らは何かと自分の制限に対して反抗する。
反抗期の2歳児や10代ほどでないにしても、人は皆自分への制限に対して、反抗したくなる心理がある。
ギザ十の場合も同じだ。
「ギザ十は中々手に入れれないものだ」ってわかると、人はそれに反抗したくなる。
つまりギザ十がより欲しくなる。
みんなが欲しがるモノは素晴らしいモノ!
その結果、ギザ十を持っていても使いにくくなってしまう。
ギザ十が使えなくなってしまうもう1つの理由がある。それは集団心理だ。
人は周りの多くに人がしている事を無意識に「良い事」と捉えてしまう傾向がある。
多くに人が「ギザ十って珍しいよね!」いってるのを聞くと自分もなんだか、ギザ十が価値あるモノのように感じてきてしまう。
特に、人は「多くの人がそれを欲しがってるから」という理由で手に入れにくいものがあると、それを余計に欲しくなってしまう。
例えば「あまり仕入れてないから」という理由で買えないゲームより「人気ですぐ品切れになるから」という理由で買えないゲームの方が欲しくなる傾向がある。
まとめ
こんな感じで「人は手に入れにくい物を価値があるものと勘違いする傾向がある」ので、ギザ十を価値があるものと思ってしまい、それを使えなくなる。
実際にはギザ十をお店で使っても10円の価値しかないし、査定員に買い取ってもらおうとしても10円の価値しかない。
なんだけどなぜか財布の中にあるギザ十は使いづらいと感じてしまう。
補足
ただ、他の紙幣や効果によっては実際にその紙幣や硬貨以上の価値になるものもある。
例えば、真ん中の穴がずれた50円硬貨や表記番号がゾロ目になってるお札なんかは数万、数十万という値段で買い取られたという事例もあるそうだ。
今回の考察をする上で参考にした書籍
今回は「なぜギザ十は持ってても使えないのか」の心理学的な考察をする上で参考にした書籍がこちら「影響力の武器」だ。
この本は、人は簡単に動かされてしまう条件が書かれている。
内容は主に
- 人は親切をされるお返しをしたくなる
- みんながやってる事は正しい事だと思う
- 人は一貫したことをしたくなる
- 手に入りにくいものは価値があると思う
- 好きな人の言う事は聞いてしまう
- 偉い人の言う事は聞いてしまう
の6つだ。
一時期テレビでメンタリズムで一世を風靡したメンタリストDaiGo氏も、この本を穴があくまで読んだと自身のYouTubeで語っていた。
「影響力の武器」が気になる方はこちらから
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