アニメリアクターとは簡単にいうとYouTuberのジャンルのひとつ。アニメを見てる時の自身のリアクションを投稿する人達の事を呼びます。ゲーム実況系YouTuberに近いイメージ。海外の方がアニメリアクターには多いため「海外リアクター」とも呼ばれます。アメリカを中心に広まりつつあるジャンルのYouTuberです。
アニメリアクターの種類
アニメリアクターの中にもいくつか種類があります。活動人数でいうと、個人で活動するリアクターとグループで活動するリアクターがいます。グループで活動する場合2人組から、多いと10人以上のグループもあります。メンバー同士の関係性は友達同士である事が多いです。
リアクターに性別の偏りはあまりなく、男性リアクター、女性リアクター共に同じくらいの比率でいます。リアクターの年齢層は2,30代のリアクターが比較的多いですが、40代,50代のリアクターもそれなりにいます。
リアクターの国籍は様々ですが、過半数はアメリカ人です。アメリカ以外だと、フランス人、イギリス人、カナダ人のリアクターが多いです。
またリアクション動画を投稿する傍ら、ゲーム配信や日常系動画を投稿するアニメリアクターも大勢います。またごく稀に、日本人のアニメリアクターもいます。
アニメリアクターがやっていること
アニメリアクターが普段どんなことをやっているのか見ていきましょう。
アニメを鑑賞する
アニメリアクターの動画でメインとなるのはアニメを鑑賞してリアクションをとる事です。なのでリアクターは自分達がアニメを鑑賞している様子を録画します。リアクションをするためには鑑賞するコンテンツの内容をきちんと理解している必要があります。
撮影場所は自宅部屋である事が多く、撮影部屋には自分が好きなアニメのポスターを貼ったり好きなキャラクターのフィギュアが飾ったりしてる事もあります。またリアクター自身も作品を鑑賞する時は好きなアニメのTシャツを着たり、コスプレをしたりする方もいます。
編集作業をする
次に録画した動画を編集します。具体的には自分たちが映像を鑑賞している様子を録画した動画の中に、その時に見ていた映像を埋め込みます。
こんな感じ
但し映画やアニメ、ドラマなどの作品をそのまま埋め込んだ動画をYouTubeに投稿すると、著作権侵害となってしまいます。なのでアニメリアクター達は転載する作品を途中でカットしたり作品の映像を荒くしたりする事で「引用」という形でアニメ映像を使用しています。
それ以外の編集作業としては、動画の最初に自作のアニメーションを入れたりするリアクターもいます。
動画をアップロードする
編集した動画をプラットフォームにアップロードします。代表的なものとしては、YouTubeなどの動画プラットフォームが挙げられます。
収益を得る
アニメリアクターが収益を得る手段は主に2つです。1つ目はYouTube収益です。YouTubeの収益は1再生あたり0.05円といわれており、100万回再生されれば5万円の収益(あくまで目安)になります。2つ目はファンからの寄付です。アニメリアクターの多くはPatreon(パトレオン)という定額制の寄付サービスを利用しており、これを使ってファンからの寄付を得ています。Patreon(パトレオン)は加入するプランによって受けられる特典が異なるという特徴があります。ファンからの寄付を受ける手段としてPatreon(パトレオン)以外にPayPal(ペイパル)というサービスを使われている方もいらっしゃいます。
またアニメリアクターの中には、独自のアパレルブランドをオンラインで販売している方もいらっしゃいます。
他にもアニメリアクターの翻訳チャンネルを運営されている方と契約を結び、翻訳チャンネルでの収益を折半される方もいます。
アニメリアクターに人気のアニメ作品
世界最大級のアニメコミュニティサービス「MyAnimeList」のデータによると、世界的に人気のあるアニメ作品は以下。
- 進撃の巨人
- デスノート
- 鋼の錬金術師
- ワンパンマン
- ソードアートオンライン
- 僕のヒーローアカデミア
- 鬼滅の刃
- 東京喰種
- ハンターハンター
- 君の名は
- シュタインズゲート
- ナルト
- ノーゲームノーライフ
- 呪術廻戦
- 聲の形
- トラどら
- ワンピース
- 四月は君の嘘
- リゼロから始まる異世界生活
- ノラガミ
- エンジェルビート
- アカメが切る
- 僕だけがいない街
- 七つの大罪
- 未来日記
特に「進撃の巨人」の人気は絶大で、この作品を鑑賞するリアクション動画を投稿するアニメリアクターが大勢います。
シンプルなバトルものではなく、ストーリー性のある作品が世界的に好まれる傾向があります。
アニメ作品を見るなら
アニメ作品を見るなら下記のサービスが特に人気です。
- U-NEXT
- Dアニメストア
- AmazonPrime
U-NEXT
U-NEXTは視聴できる作品数が24万作品と、他の動画配信サービスと比べてダントツで多いという特徴があります。また、「毎月1200ポイントが付与される」、「31日間の無料お試し期間がある」、「画質が良い」、「映画の割引券がもらえる」などの特典があります。
Dアニメストア
Dアニメストアはアニメ作品の視聴に特化した動画配信サービスです。特徴としてはアニメ作品の視聴だけでなく、「アニソン映像の映像を視聴できる」「アニメグッツをお得に購入できる」といった特典があります。Dアニメストアについて詳しくはこちら
AmazonPrime(アマゾンプライム)
AmazonPrime(アマゾンプライム)は月々500円で様々な動画を視聴できる動画配信サービスです。「Amazonで購入した商品が一部無料になる」「一部音楽が聴き放題になる」といった特典があります。
アニメ映像の無断使用は違法?
日本には著作権法という法律があり「他人の作品を勝手に使うのは禁止」というルールがあります。この著作権法は世界各国で適応されるため、例え他国であっても他人の作品の無断転載は禁止です(著作権情報センターより)。なので、外国人が日本のアニメ作品などをYouTube上に無断転載しても削除対象となります。
但し、他人の創作物であっても「引用」という形でなら使用が認められています。簡単にいうと「適切な範囲内であれば他人の作品を使って良い」という内容です。詳しくは著作権「引用」で。
海外リアクターの場合、自身のリアクション動画に「アニメの映像を引用する」というスタイルをとっているため、著作権違反の対象とならない場合が多いです。もちろんただの転載動画は削除対象となります。
弁護士法人モノリス法律事務所の弁護士である河瀬李は「リアクション動画は4つの引用要件を満たせば著作権侵害と判断されない」という趣旨の主張をされており、各要件について具体的に説明されています。
(参考:YouTubeで人気のリアクション動画の法的問題点 著作権違反にならないのか)
7,8前からずっと削除される事なくYouTube上に残り続けてるリアクション動画も沢山あるので、適切に引用すれば削除対象にはならないと考えられます。
リアクション動画の歴史は?
リアクション動画は元々、日本のワイプ映像が走りです。
ワイプ映像とは、ある画面に別の画面を差し込んだ映像の事で、一番最初は1971年にプロ野球中継の終了後に放送されたテレビドラマの中でナイター中継を続行する映像を映すために使われた事から始まりました(参照:渋沢社史データベース)。
その後バラエティ番組やニュース番組でもワイプ映像が普及します。
2012年ごろからYouTuber「REACT」によってYouTubeでのリアクション動画が広まっていきます。
2012年3月16日に投稿されたリアクション動画 → https://youtu.be/O84vVvE2Tcc
その後、著作権の問題によりチャンネル停止が相次ぐ中、アニメリアクションを中心にリアクション動画はYouTubeに残り続けます。
- 「Blind Wave」が2015年10月12日にドラマ「Game of Thrones」のリアクション動画を投稿
- 「The Normies」が2016年5月23日にドラマ「Game of Thrones」のリアクション動画を投稿
- 「JamiUwU」が2017年6月28日にアニメ「ドラゴンボール超」のリアクション動画を投稿
など現在も人気の海外リアクター達がリアクション動画を投稿するようになります。
その後、日本でも海外の反応としてリアクション動画熱が加速。日本でもリアクターが生まれたり、海外リアクターの翻訳動画が生まれたりしました。
しかし、まだ著作権者への収益分配がスムーズに行われる状態ではないため、リアクション動画はグレーな存在として認知され、マイナー文化となっています。
2023年1月時点で登録者10万人以上の海外リアクターが27組、登録者100万人以上の海外リアクターが1組(RT TVのみ)確認できます。
詳しくは「海外リアクターチャンネル登録者ランキング」から
日本アニメはどの国で人気?
日本アニメはアメリカで特に人気です。日本のアニメ制作会社24社が、自社のアニメ作品を利用する権利(番組放送やネット配信、商品化など)を、どの国の会社にどれだけ販売したかをまとめた報告書(2018年)によると、1位はアメリカで215契約、2位は韓国の163契約、3位は台湾の155契約、4位はフランス(152 契約)、5位カナダ(142契約)、6位中国(121契約)という結果でした。
(放送コンテンツの海外展開についてはこちらから)
各国の日本アニメの放送状況は下記
- アメリカでは1963年に「鉄腕アトム」が放送されるなど、日本アニメの放送には長い歴史がある。現在は大手の放送局よりNetflixやアニメ専門チャンネルで視聴される事が多い。
- 韓国では1960年代後半から日本アニメは放送されていたが、内容の修正や変更が激しい状況にあった。
- 台湾では1994年に日本のテレビ番組が解禁され「ちびまる子ちゃん」や「スラムダンク」が放送された。
- フランスでは専門チャンネルで日本アニメが放送され、「コブラ」「キャンディ・キャンディ」「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」「シティーハンター」が根強いファンが多いとされている。また毎年日本文化の展示会「JAPAN EXPO」が開催され、20万人を超えるアニメファンが集まる。
- カナダは「ナルト」や「ポケモン」の人気が高い。また、アニメ制作会社の多い東京都練馬区とカナダ・ケベック州間の企業交流などの取り組みが行われている。
(参照:日本アニメの海外放送状況)
このように日本アニメは特にアメリカで人気があります。海外リアクターの過半数がアメリカ人なのは「 YouTubeが普及している」かつ「日本アニメが人気」な国だからだと考えられます。
(参考:YouTubeのユーザー数が多い国)
なぜ日本アニメは海外で人気なのか
日本アニメはストーリーが現実的であるため、視聴者が登場人物に共感しやすいと言う特徴があります。一方で海外アニメはファンタジー要素が強く、共感を抱かれづらい傾向があります。そもそも海外では、「アニメは子供が見るもの」と認識する人もいます。
海外リアクターの中にも「子供向けアニメだと思って馬鹿にして見たら、とんだ間違いだった」とコメントする人もいます。
アニメ発祥の国は?日本アニメの歴史は?
世界で最初のアニメーション映画は1906年にアメリカで作られました。作品内容は黒板に描かれたチョークの絵をコマ撮りで撮影したもの。
ちなみに日本アニメの歴史は次のようになっています。
1917年: 日本で初めてアニメ映画が公開
1953年:日本のテレビ番組で初めてアニメが放送される
1965年:日本初のカラーテレビアニメ『ジャングル大帝』が放送開始
1969年:ムーミン、サザエさんが放送開始
1979年:ガンダム、ドラえもんが放送開始
1986年:ドラゴンボールが放送開始
1990年:『ちびまる子ちゃん』視聴率39.9%(アニメ番組史上2位)を記録
2002年:『千と千尋と神隠し』がアカデミー賞を受賞
2016年:新海誠の『君の名は。』が興行収入250億円突破
(参考:年代流行)
1960年〜90年代にかけて日本アニメが海外、特にアメリカなどで放送されるようになります。
その結果、海外での日本アニメの認知度が向上、YouTubeの台頭がきっかけとなり、2015年ごろから海外リアクターと呼ばれるジャンルの YouTuberが登場します。
まとめ
以上、アニメリアクターについての解説記事でした。アニメリアクターはまだまだ、認知度の高い YouTuberのジャンルではありませんが、今後さらにその認知度が広まっていくと予想されます。
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